6月30日、名古屋市会本会議で質問いたしました。
1,発達障害者支援法の取り組みについて
昨年、12月3日に待ち望まれていた発達障害者支援法が成立いたしました。そして、本年4月1日からは法律が施行されています。
これまで、自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)などの発達障害は、法律や制度の谷間におかれていて支援の対象とならない、あるいは特性にあった支援が受けられないまま、放置されていました。
この法律の施行は、発達障害に対する社会的な理解の向上や発達障害を持つ本人及び家族に対する支援体制の整備につながるものとして、私自身大いに期待をしているところであります。
私は、昨年の6月度市会本会議において発達障害児者に対する本市の取り組みについてお尋ねいたしました。今回は、すでに法律施行後であり、支援法が単なる啓発法とならないよう支援サービスの具体化について質問いたします。
初めに、発達障害児者の発達支援のビジョンについてお尋ねいたします。
発達障害者支援法の施行を受け、本市として発達障害児者の発達支援のビジョンについて明確に示していただきたいということであります。言うまでもなく支援が成功するかどうかはそれを担う人材の育成が大変重要であります。啓発半分の中途半端な人材育成ではなく、当事者団体も納得のできる「専門性」を持った人材を5年間で200から300人育成するなどの数値目標を明確にして取り組むべきではないでしょうか。また、国の発達障害者支援法の議論のなかでも10万人に一人のスーパーコーディネーターの育成を基本にして人材育成の議論がなされましたが、本市における発達支援の人材育成はどのように考えておられるのか、さらには名古屋市に生まれた発達障害の子ども達をすべて幸福にしていくという情熱ある発達支援のビジョンについて、松原市長のご見解をお聞かせ下さい。
次に名古屋市発達障害者支援センターについてお尋ねいたします。
現在、障害施設関係、医療・教育機関、行政及び関係団体の皆さんが集まって、名古屋市発達障害者支援体制整備検討会が行われています。具体的なことはその議論の推移を見なければいけませんが、当事者の皆さんからは支援センターはいつからどんな事ができるのかという大きな期待があると思います。そこで本市としては、こんな支援ができるセンターにしていきたいなど、わかりやすく語って頂けませんでしょうか。健康福祉局長にお尋ねいたします。
次に、関係部局の連携による適切な支援体制の整備についてお尋ねいたします。
発達障害者支援法には、医療、保健、福祉、教育、労働に関する部局が連携し、就学前から就労まで適切な支援をつなげていくことにより、発達障害者の社会的自立を促していくことが明記されています。国及び地方公共団体の責務として「適切な支援体制の整備」について、迅速に取り組んでいくとなっております。保育・教育・就労のさまざまな場面において、相談に行っても門前払いを受けたり、たらい回しにされることが多く、いったいどこへ相談したらいいのかわからないという現状があります。縦割り行政の弊害というか関連各機関の壁が大きく、発達障害に対する認識不足から辛い思いをされた方も多くいました。このようなことを今後無くすためにも、「関係部局の連携による適切な支援体制の整備」はどうされるのか健康福祉局長のご見解をお伺いします。
次に発達障害の早期発見と早期療育についてお尋ねいたします。
平成16年度の保健所における乳幼児健康診査等の実施状況では、3ヶ月児・1歳6ヶ月児・3歳児の受診者数は56,676人で、健康診査結果で正常以外の者は11,468人、言語・精神発達上の問題がある思われる者は2,694人でした。これは、保健師やドクターによる健診であります。そして、身体と心の「正常」以外の数は、8,256人で要観察であります。この要観察がグレーであり発達障害児が多くいるのではないかとの指摘もあり、保護者の不安もあります。日本自閉症協会で実施した全国5会場でのアンケート調査では、実際に乳幼児健診や実際の保育・療育に関わっている専門家でありながら全体の10〜20%の方しか健診に関する研修を受けていないことが明らかになり、約半数の参加者は広汎性発達障害について理解を得られていなかったという結果でありました。このようなことから本市においても乳幼児健診の早期発見の精度を高める上からもまず、健診にたずさわる保健師や医師の研修をしっかりやっていただきたい。そして、研修内容については関係団体の意見も聞きながら広汎性発達障害のそれぞれの違いが理解できるようにすることが大切ではないでしょうか。また、研修後は成果試験を実施し一定の知識のノウハウが身に付いていない場合、再研修するなど明快な基準を作るべきではないでしょうか。健康福祉局長の見解をお示し下さい。
また、名古屋市児童福祉センターや療育センターなどの受付状況では1ヶ月以上も長く待たねばならない状況があります。そのようなことから、もう一カ所療育センターができると聞いていますが、それはいつ完成するのでしょうか。支援法の施行により、早期発見の精度も高くなってくると、さらに多くの子ども達が長く待たされることにならないでしょうか。療育が遅れることは本人や家族、社会にとっても問題であると思います。早期発見、早期療育こそこの法律の目的であり、本市の責務であります。今後どのように改善されるのかこの点も明確にして、健康福祉局長にお答えいただきたい。
発達障害専門外来の設置についてお尋ねいたします。
現在、名古屋市立大学病院の小児科では、毎週火曜日の午後から予約制で発達心理専門外来を4つの診察室で行っていますが3ヶ月まちであります。これからさらに増加してくると予想されること、また、支援法にも、専門的な医療機関の確保とありますことから本市の市立病院においても工夫をして発達障害専門外来を設置していくべきではないでしょうか。の点について健康福祉局長のご見解をお示し下さい。
教員の研修についてお尋ねいたします。
文部科学省の2002年の調査によりますと、通常学級で「知的な遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す」と担任教師が回答した児童生徒の割合は、全体の6.3%で、特別な教育的支援を必要とする児童生徒は、30人学級で1〜2人いることになります。この全国調査を機に学校での対策が講じられるようになりましたが、私は、まず教師自身がこの障害に対する正しい認識ができることが何よりも大切であると思うのであります。
本市における平成16年度の軽度発達障害にかかわる研修については、幼・小・中・高の教員10,000名余りの中、参加のべ人数は、1,215名です。いつ頃をめどに全教員の研修を考えられているのでしょうか。教育の現場では、待ったなしで、教師の理解ある対応が強く求められています。ともかく全教員が早く研修を受けて頂きたいものであります。特に、管理職の中でも校長の発達障害に対する理解が重要であります。今後の特別支援教育への体制づくりの上からも、まず、トップから研修を受けて頂きたいと強く申し上げたいのであります。また、教師が教育現場でどう対応していいか苦慮している現状もあります。「教員110番」など相談窓口を設置して専門家のアドバイスを受けられるようにするなど、スピードある対応が大切ではないでしょうか。教育長のご見解をお示し下さい。
答弁
@が松原市長
A〜Dが健康福祉局長
Eが教育長
@発達支援のビジョン
ア 本市における人材育成の考え
発達支援に携わる人材の育成ですが、発達障害児者への支援にあたっては、議員ご指摘のとおり、専門的知識を有する人材の養成や確保は重要な課題のひとつでございます。
発達障害に対する取り組みは歴史が浅く、国レベルでも今年度から初めて関係職員の研修が始められたところでございます。
本市においても、こうした国の動きを注視しながら、発達障害者支援体制整備検討会における結果も踏まえて、人材の育成に努めて参りたいと存じます。
イ 発達障害支援のビジョン
発達障害者とその家族の方への総合的な支援という取り組みは、発達障害者支援法という新たな法律の施行を受けて、まだ始まったばかりです。
まずは、市民の方々に、発達障害に対する正しい知識と理解をもっていただくことが重要であり、そのための、広報、啓発を行う必要があります。
さらに、発達障害を早期に発見し、幼少期の早期から発達支援に取り組み、教育、就労、にいたるまでのライフステージを通じた支援が必要です。
現在は、保健所、地域療育センター、保育所、学校など各機関が対応を行っていますが、今後は、それぞれの機関の間で調整を図りながら、十分な連携の下で、適切な支援を行うことが重要であると考えております。
本人及び家族の方々は一刻も早い十分な支援を望んでおられると思います。そのような思いを私も真摯に受け止め、発達障害児者が社会の一員として成長していけるような環境づくりに、取り組んで参りたいと考えております。
A発達障害者支援センター
発達障害者支援センターにおける支援の内容についてお尋ねいただきました。本市では、発達障害者支援法が施行される以前から、児童福祉センターや、地域療育センターにおける療育グループの実施や保育所における保育、保健所における乳幼児発達相談など、関係機関が支援を実施してきたところです。
発達障害者支援センターは、こうした関係機関の連携の核になるものと考えておりまして、地域における発達障害者に対する支援を担う様々な社会資源をコーディネートすることによって、より適切な支援ができるものと考えております。
また、発達障害に関する市民への広報啓発、関係者への研修の実施といったものも発達障害者支援センターの役割となるのではないかと考えておりまして、検討会の意見を十分に踏まえて、秋頃開設したいと考えております。
B関係部局の連携による適切な支援体制の整備
関係機関の連携による支援体制についてですが、支援の内容は発達障害児者のライフステージ全般にわたるものであり、各関係機関が、発達障害に対する認識を十分に深めたうえで連携し合うことは、大変重要であると考えています。
現在進めております検討会の委員には児童福祉センター、地域療育センター、精神保健福祉センター、知的障害者更生相談所、保育所、保健所といった健康福祉局関係の他、就労支援の関連では愛知労働局や障害者就労支援センターが、医療機関では医師会、精神病院協会、大学の先生方にご参加いただいております。また、教育委員会からも参加していただいております。
この検討会が、今後の関係機関の連携による支援体制に大きく結ぶつくものと考えており、発達障害者支援センターは、その中核としての役割を果たして参りたいと考えております。
C早期発見と早期療育
ア 保健師や医師の研修
保健所では、子どものすこやかな発育と発達を支援するため、3か月児、1歳6か月児及び3歳時の乳幼児を対象に健康診査を実施しております。
また、これらの乳幼児健診に従事する保健所の医師や保健師さらには幼児の保育に携わる保育園の保育士などを対象に、発達障害に関する専門家を講師とした研修を実施することにより、その知識を深め、障害児の行動特性を理解することに努めているところでございます。
今後とも、この発達障害に関する研修の継続的な実施に努めるともに、その研修効果を評価する方策等について検討をすすめてまいりたいと考えております。
さらに、療育機関との連携を強め、関係団体のご意見も伺いながら研修内容の一層の充実に努めるとともに、健診従事者の質の向上を図ることにより、引き続き発達障害児の早期発見に努めてまいりたいと考えております。
イ 早期の療育支援
新しい療育センターの設置を含めた早期療育についてのお尋ねですが、本市では早期発見、早期療育のために総合通園センターと3か所の地域療育センターの整備を進めてきました。
第二次実施計画におきまして、5か所目として東部方面における地域療育センターの新設に向け、用地の選定を掲げているところでず。
用地選定後できるだけ早い時期に設置することによって、学齢前の障害児に対する早期の療育支援体制の整備に努めて参りたいと存じます。
D市立病院における発達障害専門外来の設置について
国においては、発達障害の専門医が少ないことから、今年3月、小児科医や精神科医などによる検討会を設け、診療報酬の問題を含め、専門医増加につながる方策を年度内に提言する方針と聞いております。
こういった状況の中、市立病院におきましては、専門医の確保が難しいことなどいくつかの課題がありますことから、現時点での専門外来の設置は難しいと考えておりますが、今後、国の検討会の状況を見守りながら検討して参りたい、と考えておりますので、よろしくお願いいたします。
E教員の研修
ア 教員全体の研修について
発達障害児にかかわる研修は、適切な支援をする上で重要であると考えております。ご指摘のように、16年度に教育センターで研修を受けた教員は延べ1215人ですが、より早期に全教員の理解を深め適切な支援が行えるようにするため、発達障害児指導の中核となる教員を各学校に一人は育成し、その教員を中心に、各学校の研修を進めているところです。
イ 管理職の研修について
議員ご指摘のように、組織的な支援を進めるためには管理職のリーダーシップが必要不可欠であり、これまでの教頭の研修に加えまして、今年度からは新たに校長研修においても位置づけ、実施してまいりたいと考えております。
ウ 教員の相談窓口の設置について
個々の教員がかかえる指導上の悩みや課題に対応するため、すでに教育センターに教職専用の相談窓口を設け、精神科医や指導主事が対応しております。さらに、17年度には、全中学校ブロックに臨床心理士であるスクールカウンセラーを配置し、各学校における相談窓口の充実も図ったところでございますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。

